|
|
ルー・リードの大作「レイヴン」は
常に2枚組で手に入るようにしやがれ! |
このアルバムを迷った挙句、
未だ自分の分を購入していないことを激しく後悔している。
何故迷ったかというと、
初回限定二枚組で発売された輸入盤を買うか、
やはりルー・リードの詩人の面も凄く好きなので、
歌入りの曲だけ一枚にまとめた対訳付きの国内盤を買うかというところで迷ってしまい、
|
|
結局タイミングを逸し両方とも買わずじまいになってしまった。
しかし英語がわからないにしても、この作品は2枚組の形態で聴くもんだ!
と本盤を聴いた後には強く言わざるを得ない。
エドガー・アラン・ポーの作品をモチーフに、
ロバート・ウィルソンと組んで2001年11月にニューヨークで上演された演劇「Poetry」を土台にして
作られたという企画アルバムのように言われていて確かに朗読あり、
演劇の台詞あり、インストあり、果てはルー以外の人間が歌う曲もあり、
と明らかにルー・リードのオリジナル・アルバムと言うには語弊があるような
企画色の濃い構成になっているが、
それでも本作は2枚組で常に手に入るようにしておかないといけないのではないか?
付属のライナーを見ると、ディスク1の1には
「1.The Conqueror Worm Willem Defor - Young Poe, Lou Reed - electronic
music」
と記載されているように、
ほとんどの詞の朗読や劇中の台詞のバックにもしっかりルー翁のBGMが付いている。
そう、ルーの音楽が朗読や台詞のバックといえども鳴っているのである。
今ではこの2枚組の形式では新品を買うことが出来なくなっているというのは、どうにも解せない。
国内盤に到っては抜粋盤しかリリースされていないというのも納得いかないし、
米ワーナーもこれを限定盤でしか出していないというのもおかしい。
レコード会社は違えども、
『メタル・マシーン・ミュージック』の時より状況は悪化しているということだろうか?
あのアルバムはレコード会社は反対したにしても、普通にリリースされていたのだから。
本作を初回限定で2枚組にするということはルーも納得してのことだったのだろうか?
そこらへんのやり取りに関しては知らないのだが、
自分としてはこれは2枚で一つの完成した作品と思っている。
1-Fでは今の奥さんローリー・アンダーソンが詩の朗読を、
1-Kはアルバム『ベルリン』収録曲の再演、
『トランスフォーマー』収録の1-Lではルーではなく、
昨年素晴らしいソロ・アルバムをリリースしたアントニーがヴォーカルを担当。
2-Iではオーネット・コールマンがアルト・サックスを吹きまくり、
2-Nではデヴィッド・ボウイがヴォーカル、
また、詞の朗読のパート等は俳優のウィレム・デフォー等が担当する等、
豪華なキャストを配した一大ロック・オペラと言って過言でないような作品となっている。
だからこそ、詩の朗読も、台詞もあってこその完全盤といえるのであって、
増してや同時多発テロ事件に触発されて出来たという
『メタル・マシーン・ミュージック』の続編と言える
混沌としたノイズ・ミュージック2-Sが入っていない1枚ものは、
敢えて不完全なダイジェスト盤であると断言してしまいたい!
サッカーの試合だってシュート・シーンのダイジェストを見ただけじゃ、
その試合を見たことにはならないという事と同じである。 |
(2006. 1. 5改) |
|
|
|
|
|